Lesson15-1 フランスのワイン法

フランスワインの分類と格付け

ワインは、ぶどうの品種、育つ土壌、栽培法、気候、などのさまざまな要素が関わって個性を出しています。
それぞれのワインの個性をはっきりとさせ、品質を保つためには、生産する地域を限定して規制を行う必要があります。

ワインの歴史が非常に長い旧世界の国々は、ワインの品質水準を保護するためにワイン法が定められています。
そのなかでワインの品質の基準となっているのが「格付け」です。

2009年にEUが新たなワイン法を作ったため分類が大きく変わり、現在その新格付けに移行中ではありますが、
それまで各国で定められた格付けも引き続き使うことが認められています。

旧格付けは国内のワインの質を守るために細かく制定されたものでしたが、それがかえって消費者にはわかりづらいという欠点がありました。
一方で、勢力を伸ばしている新世界の格付けは明快で消費者にもわかりやすいので、それに対抗すべく改定されたということです。

フランスのワインは、生産地を特定する上級カテゴリーから、生産地を特定しない下級カテゴリーまであります。
上級になればなるほど、規制や製法が厳しくなります。

フランスのこの産地至上主義のワイン法では、それぞれのワイン生産地が生み出すワインの個性を、高く評価します。

旧格付け

旧格付けでは、大きく4つに分類されていました。

上級から

  • AOC(Appellation d’Origine Contrôlée):原産地統制名称ワイン
  • VDQS(Vins délimités de qualité supérieure):原産地名称上質指定ワイン。※2011年に廃止
  • Vin de Pays(ヴァン・ド・ペイ):地酒
  • Vin de Tabe(ヴァン・ド・ターブル):テーブルワイン

新格付け

一方で、新格付けでは大きく3つに分類されています。

上級から

  • AOP(Appellation D’origine Protégée ):原産地呼称保護ワイン。上級ワイン。地域、ブドウ品種、栽培方法、生産方法などに至るまで細かく規定されており、フランス国内では最も厳格。
  • IGP (Indication Géograghique Protégée 地理的表示保護ワイン):日常用ワイン。AOPに比べ規定がゆるく、使用できるブドウ品種も多い。当然だが品質にはばらつきがある。
  • Vin de Table(地理的表示なしワイン):低価格ワイン。もっとも低品質のカテゴリー。

ボルドー(メドック地区)の格付け

フランスでは、地域ごとにもワインの格付けがおこなわれていますが、ボルドーではシャトーに対して格付けをおこないます。
例えばメドック地区では、Cru Classé(クリュ・クラッセ)を筆頭に、Cru Bourgeois(クリュ・ブルジョア)、Cru Artisan(クリュ・アルティザン)と続きます。

しかしこの格付けは、1855年に制定されてからほとんど改定されることなく続いてきたため、専門家の評価や人気が格付け通りとならなくなってきました。
さらにクリュ・ブルジョアの数も多すぎることから、今後もこの格付けを続けるかどうかは議論が交わされています。

ブルゴーニュの格付け

ブルゴーニュは、畑に対して格付けがおこなわれ、一級とさらにその上の特級に分類されています。

上から

  • Grand Cru(グラン・クリュ):特級畑。ブルゴーニュ産のもっとも上級ワイン。
  • Premier Cru(プルミエ・クリュ):一級畑。高品質ワイン。
  • Village(ヴィラージュ):定められたヴィラージュ(村)で造られた高品質ワイン。
    Lesson10-2でも学んだシャブリやコート・ド・ボーヌなど、44のヴィラージュがある。
  • Bourgogne(ブルゴーニュ):ブルゴーニュ産の良質ワイン。

シャンパーニュの格付け

シャンパーニュ地方では、村に対して格付けされます。

  • Grand Cru(グラン・クリュ):シャンパーニュで最上級。2019年時点では17の村がこれに該当する。
    ヴィンテージ・シャンパン、ノン・ヴィンテージシャンパンとそれぞれある。
  • Premier Cru(プルミエ・クリュ):高品質のシャンパーニュ。2019年時点では42の村が該当。
  • Millesime(ミレジム):同じ収穫年のワインから造られるヴィンテージ・シャンパーニュ。36ヶ月以上熟成させる。
  • Non Vintage(NV/ノン・ミレジム):ノン・ヴィンテージ。異なるヴィンテージワインから造られるシャンパーニュのため、ブドウの良し悪しにあまり影響されず一定の品質のものができる。15ヶ月以上熟成させる。

今回は、フランスの格付けについて解説しました。

近年、フランスではワイン法にしばられずにおいしいワインを造りたい生産者が増えてきています。AOPのワインを造ることができるにもかかわらず、規定外のブドウを使って自分のワイン造りを追求し、あえて下級カテゴリーで販売することもあります。

そのため、AOPでないからといって必ずしも低品質であるとは限らないのです。下級ランクのワインであっても、生産者がこだわって造った個性的なワインに巡り会える可能性もあります。

その逆もあり、上級ワインに格付けされたものが必ずしもおいしいかというと、それも言い切れません。ワインを選ぶときは格付けのほか、専門家の評価も参考にすると良いでしょう。

次の章では、イタリア、ドイツ、スペインの格付けについてです。